俺様彼氏はShy Boy?


「何やってんだ? 入らないのか」


いつの間にか、あたしの背後に海斗がいて。

手にはプレート。

あの日と同じような光景で、少し驚いてしまう。


「開けて」


そう言って、顎で海斗の部屋のドアを指して。

早く、とあたしを急かしてくる。


慌ててガチャっと音を立ててドアを上げると。

その先は、今はもう見慣れた海斗の部屋が視界に入ってきた。


久しぶりなのに、なんだか落ち着くその空間に。

ホッと胸を撫で下ろす。


「突っ立ってないで座れば?」


そう言って、海斗はテーブルに持ってきたものを置いて座ると。

ほら。と、自分の隣をポンッと叩いた。

あの日と違うのは、あたしたちの座る位置。

海斗の隣は、あたしの特等席。


少しだけ躊躇しつつ、チョコンと座るあたしを見て。

海斗はなんだか嬉しそうに見えて、あたしも嬉しさに口許を緩めた。


海斗が持ってきたプレート、目の前には。


「ロールケーキ?」

「相変わらず比奈比奈ってうるさいから、明日連れてくるって言ったらさ。比奈のために楽しそうにこれ作ってた。今日、仕事終わったらすぐに帰ってくるから、帰らないで待ってろだってさ」

「フフ、嬉しい…」


海斗のお母さんが作るお菓子の中で、チョコケーキとこのロールケーキが好きだって覚えててくれたんだ。


< 460 / 479 >

この作品をシェア

pagetop