俺様彼氏はShy Boy?
「何やってんだ? 入らないのか」
いつの間にか、あたしの背後に海斗がいて。
手にはプレート。
あの日と同じような光景で、少し驚いてしまう。
「開けて」
そう言って、顎で海斗の部屋のドアを指して。
早く、とあたしを急かしてくる。
慌ててガチャっと音を立ててドアを上げると。
その先は、今はもう見慣れた海斗の部屋が視界に入ってきた。
久しぶりなのに、なんだか落ち着くその空間に。
ホッと胸を撫で下ろす。
「突っ立ってないで座れば?」
そう言って、海斗はテーブルに持ってきたものを置いて座ると。
ほら。と、自分の隣をポンッと叩いた。
あの日と違うのは、あたしたちの座る位置。
海斗の隣は、あたしの特等席。
少しだけ躊躇しつつ、チョコンと座るあたしを見て。
海斗はなんだか嬉しそうに見えて、あたしも嬉しさに口許を緩めた。
海斗が持ってきたプレート、目の前には。
「ロールケーキ?」
「相変わらず比奈比奈ってうるさいから、明日連れてくるって言ったらさ。比奈のために楽しそうにこれ作ってた。今日、仕事終わったらすぐに帰ってくるから、帰らないで待ってろだってさ」
「フフ、嬉しい…」
海斗のお母さんが作るお菓子の中で、チョコケーキとこのロールケーキが好きだって覚えててくれたんだ。