俺様彼氏はShy Boy?
スポンジにクリームだけのシンプルなロールケーキ。
コンビニのロールケーキより、ずっと美味しいと思うそのケーキを。
一口パクリと食べて。
ほんのり甘いクリームが口の中に広がって、幸せを感じる。
「その顔、母さんにも見せてやれよ」
幸せそうな笑みを浮かべてケーキを食べるあたしを、今までにないほど優しい瞳で見ていた。
同じ部屋にいたって、こんなふうにあたしのことを見てることなんてほとんどなかったし。
もちろん、お互いに見つめ合ったりなんてこともほとんどなかった。
だから、こうやって海斗に見られてることに慣れてないあたしは。
すぐに頬に熱が集中するのがわかった。
「…あんまり、見ないでよ」
恥ずかしいから。
少し俯きかげんになったあたしに、そっと伸びてくる海斗の大きな手。
あたしの髪に触れて、顔にかかる髪を耳に掛けてくれる。
そして、教室でしたようにあたしの耳たぶにそっと触れて。
「ピアス…」
何もついてないあたしの耳元で、そう呟いた。