俺様彼氏はShy Boy?
「あっ…っと…」
海斗を諦めるために捨てたなんて。
言えるわけがない。
言い訳しても仕方ないけど、なんて言ったらいいのかいい言葉なんて見つかることもなくて、それを誤魔化すようにあたしの自分の耳たぶに触れてみた。
耳たぶの傷は、もうすっかりと治っていたけれど。
今は何もつけてない。
「なぁ、比奈…」
ピアスどうした?
そう聞かれるんじゃないかと、内心ビクビクしてる。
そんな気持ちを悟られないように、海斗へと視線を送ることができない。
でもここは素直に謝っておこう。
「ゴメンな…さっ…」
「ほら」
あたしの謝罪の言葉にかぶさるように、鼓膜を振るわす海斗の声。
ほら。と差し出された手にはキラリと光る黒い宝石。
「…どうして」
あの日、確かに空き教室の窓から捨てたはずなのに。
海斗の手には、オニキスのピアスが乗っていた。