俺様彼氏はShy Boy?


「もう、捨てるなよ」

「…なんで、知ってるの?」


なかなかそれを受け取ろうとしないあたしに痺れを切らしたのか。

差し出した手を引っ込めると。

オニキスのピアスをあたしの耳にそっと付けてくれる。


「見えたんだ。比奈が窓から捨てるところ」


あたしの耳に再び戻ってきたピアス。

それに、そっと触れると。

ジンワリと心が温かくなっていった。


「もうダメだって、正直思った。だから、またこうやって比奈の手元に戻ってよかったって…」

あたしを覗き込むその顔からは、心からホッとしてるのが伝わってくる。


海斗を見れば、海斗の耳にある同じピアスが目に入って。

嬉しさに視界がぼやけてきそうだったから。

それを誤魔化すように、ロールケーキを一口食べて。


「美味しい…」


ニコリと笑うあたしを、海斗は優しい瞳で見つめてた。


「だから、あんまり見ないでよ」

「気にするな」

「気になるよ」

「…比奈を見てたいんだ」


海斗らしくない言葉に、ドキドキが加速していく。

今まで気にしたこともなかったのに…

今ここには、海斗と二人きり。


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