○(まる)
 日が昇っている間に外に出たのは何日ぶりだろう? 木製のベンチに座ると、椅子の木の繊維が重さに耐えかねてピシリと軋んだ。
 指折り数えると実に一週間もの間、しかもその一週間の前に外出した先は、ベランダであるという駄目っぷりである。
 ベランダに行くことが外出といえるのかがいささか疑問だが、外の世界に出ると書くのだから外出と言って間違いないと思う。
「……どうしようかなぁ」
 小さくつぶやいてみる。
 路頭に迷うとはこの事だ。いや、もう学校をやめた時点で迷路の入り口に立っていたのだろう。
 あれ、今のはなかなかセンスが良い例えだ、よくやった自分! なんて言っている場合ではない。
 明日、僕は生きているのだろうか? 冷静に考えようと両手を握り、親指をくるくる回しながら考える。
 交通事故だかなんだかに巻き込まれて死んでたらどうしよう?
 ――どうしようもないに決まっている。
 楽天家やポジティブといえば聞こえがいいが、どうしてもこれからの未来が暗く見えないのが僕の一番の欠点である。
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