RE. sEcrEt lovEr
誰かに腕を握られているのに気が付き、目をゆっくり開ける。

そこには脈を測る椎名先生の姿があった。

「ごめんね、起こしちゃったわね。熱があったって聞いたけど、もう大丈夫?」

そういえば昨日の夜から微熱があったんだっけ?

入院した頃の苦しさに比べると大したことはないと思っていたけれど、

点滴をしてもらって楽になったのか 気がつくと眠ってしまっていた。

「はい。大丈夫です」

このくらいならば きっと。

だるさや痛みの極限を経験してしまった自分は、いつの間にか忍耐力や我慢強さの類も身につけていたらしい。

「身体もだけど、メンタルは?日向くんと話はしてる?」

椅子に腰掛けた先生から突如 意味深な質問が飛ぶ。

「最近はまともに話してないです。でもきっと忙しいからですよね。それにあたしがあんな… っ!」

そこまで言いかけると、慌てて手で口を塞ぐ。

「知ってる。告白したんだってね。ドラマみた~い」

…穴があれば入りたいってこんな気持ちのことを指すんだと思う。

「でもマンザラでもないように見えるけど?」

そういえば、メロドラマが好きって言ってたっけ…

それに人の恋愛で盛り上がれちゃうこの感じ。

ママと同じだ…
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