RE. sEcrEt lovEr
たわいもない話をしながら 長い廊下をゆっくり歩く。

病室よりも開放的な空間が呼吸を楽にしてくれる。

そして初めて真実を知ったのもその時だった。

「日向くん、少しの間だけ移籍してるんだけど… 聞いてない?」

「初耳です」

ごめんねとバツが悪そうな顔をする椎名先生。

手術前も手伝ってることを聞かれるまで言わなかったくらいだから、

甲ちゃんにとったら きっと大したことではないのだろう。

「救外が彼の腕をかってから、ずっと声をかけててね。

あの子も暫くは断ってたんだけど、少しの間ならって条件付きで」

その時通りかかったナースステーションで彼の姿を見つける。

何だか疲れてるみたい。

長身の白衣姿は少し背が丸まっていて、目が… ううん、表情がどこか冷たい。

それはまるでパパさんのポスターの時のような、誰も寄せ付けない冷めた目。

加工はされていたけれど、あの写真も確か仕事で憔悴し切っている時に撮られたものだっけ。

それに少し痩せたかも?

あたしより無理しているんじゃないかな。

パソコンから視線を移した彼と目が合ってしまう。
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