RE. sEcrEt lovEr
「甲ちゃん… あたし、どうしていいのか分からないよ」

「…あ、退院だったらカウントダウン始まってるし 夏休みの宿題は貴弘くんが」

少し考えた後で、甲ちゃんはまた拍子抜けな発言をする。

「貴は留学決めちゃうし、甲ちゃんは仕事で注目受けて遠い存在の人になっちゃうし。それなのに あたしなんて」

あたしなんて何も変わっちゃいない…

小さい頃からそうだった。みんなが退院してもあたしは一人ぼっち。

スタートダッシュが遅いくせに、スタミナもなくて途中歩きながらゴールを目指しても結局棄権。

二人とも先を歩きすぎ… いつの間にか追いつかないくらい差が開いちゃった。

「違うだろ?一番コマ進めたのが絹だから見える景色が違うんだよ」

「見える景色…?」

「B級ブランドのモデル務め上げて、難しい手術も乗り越えた。

もう少し自信持っていいんだよ?

俺なんか今日も誤字脱字を“おじさん達”に怒られて、むしろ ふりだしのままだからね」

成程、それで書類… 思わず笑ってしまう。
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