RE. sEcrEt lovEr
「絹~、振られたの?」

ニヤニヤしながら娘の不幸にも楽しそうに食い付く母。

何でもラジオのネタにするんだから、こっちは たまったもんじゃない。

「あ、いや、そういうんじゃなくて!」

「甲斐くん、忙しいんだから我が儘ばかり言ってると愛想つかされちゃうゾ?」

そう言いながら頬をぐっと指で押される。

「なっ…!あたしが悩んでるのは甲ちゃんのことじゃなくて」

手を振り払ってもママのねちっこい尋問は そう簡単には終わらない。

「貴弘くん?罪な女よね、兄弟を弄ぶなんて。あんた いつの間にそんな悪女になったわけ?」

…弄んでなんかないもん。

寧ろ、あの兄弟に振り回されているのはあたしの方。

彼らに会わなければ、甘くて苦しい恋の味も知ることなんてなかったもの。

気がついたらここ数日ずっと彼らのことばかり考えている。

あたし達のこれから先のこと、それから“この関係”がいつか崩れるんじゃないかってこと…

だけど 皮肉にもその瞬間はもう目前にまで迫っていた。
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