よるのむこうに
本当はわかってるんだよなぁ。
天馬は私が好きだからこの家に居るわけではない。ここにいると便利だからここにいる、それだけなのだ。
いつか、彼が仕事を見つけて生活が安定したり本気で好きになれる女性が見つかったら、彼はそれこそ野良猫のようにするりとこの家を出て行くだろう。元々何も考えていない男なので置いていかれる私に対する罪悪感などないし、下手をしたら「じゃあな」の一言すらないかもしれない。いや、そうなるだろう、そういう男だ。
なんでこうなっちゃったんだか。
初めて出会ったときは運命だと思ったのだ。でも、違ったらしい。