よるのむこうに

天馬は眉をしかめて私の話を聞いていたが、結局私の言うことを理解できなかったのか、首をかしげた。

「仕事があるやつは稼げばいいけど、お前クビになったんだろ？
だったら暇なんだしさ、やりたいやつはすりゃーいいだろ。仕事さぼってしようってわけじゃなし。お前がしたくないって話？」

「いや……そうであってそうでないような」

彼は肩をすくめた。


「やりたいときに頭使わせんなよ。わけわかんね」

私もわけがわからなくなってきた。しかし平日昼間に無職二人がけしからんことをするという行為に対するこの罪悪感は一体なんなのだろう。


「天馬、悪いんだけどちょっといろいろ考えて生活の見直しを図りたいからそっとしておいてくれる？」

「は？おい。さんざんわけのわかんねーことを言って頭使わせてあげくやらせねえってなんだよ」

なぜキレるのか。今は昼だ。世間の皆さん働いてらっしゃる時間だよ。

「しないとは言ってないじゃない……あとでするかもしれないじゃない……」

「俺は今がいいんだよ」

「うるさいわねこの馬鹿！頭の中それだけか！！」


天馬があまりにもしつこいのでとうとう私はヤツを怒鳴って寝室に閉じこもった。