よるのむこうに
一人で自分の体と向き合っていると普段自分が意識している以上に自分の体が病気なのだとわかる。
天馬の突拍子もない行動に振り回されて、彼と口げんかをしている時間は案外私にとって大事な時間なのかもしれない。
たまに一人になってみると、最初は緊張感から開放されて嬉しいのに時間がたつとリウマチがどんと私の意識の中央に居座り、そこから動かない。
怖いな……。
天馬、何時に帰ってくるんだろう……。晩御飯、いるのかな。
目を開けるとカーテンの隙間から差し込む光の色が朝のそれとは違っていた。
「……嘘……」
壁掛け時計を確認すると、時計はもう四時半を示していた。八時間以上眠っていたことになる。エアコンをつけたままだったので熱中症は免れたが、風を直接受けていた足全体がひどくこわばっている。
やってしまった。
療養中だし天馬が何か言うわけでもないのに日中に八時間も眠ってしまったという事実にぞっとするような罪悪感を感じる。
洗濯物はどうなっただろう。
天馬が最近洗濯機の使い方を覚えたので洗濯機のボタンを押す、までは任せていたのだが、こんなときに限って彼が自分のミッションを全うしていたとしたら。
真夏の洗濯機の中でぬれたまま八時間放置された洗濯物がどうなっているのか想像すると気分が暗くなった。