よるのむこうに


無理だ。


四六時中痛くて、眠っているときですら痛みで起こされることもあるというのに、この激しい痛みを忘れることなんて出来ない。
なによりいつだって怖くてしかたがない。
この病気がどこまで進んで、私からどれほどのものを奪うのか、ここまでという歯止めがないのが怖い。



リウマチになってストレスを感じないように生きるなんて無理な話だ。私にはできない。
怖いのだ。


一粒涙をこぼしてしまうと堰(せき)を切ったように涙がぼろぼろとこぼれてとまらない。
普段の私はこんなに気の弱い人間じゃない。でも一旦不安に追いつかれると……もう。


私は泣きながらゆっくりとスウェットを脱ごうとした。
親指の付け根の関節がぎしぎしと痛み、濡れて体に張り付いた服を脱ぐのは骨が折れた。
けれど、天馬が帰る前になんとか始末してしまいたかった。知られたくなかった。


なんとか一人でその状況の始末をつけようと決め、動揺収まらぬまま立ち上がろうとした。


しかし、足が思うように動かなかった。
今まで多少の痛みは覚悟して無理にでも動こうとすれば動けないことはなかったのに、動かない。
冷えのせいなのか薬が切れたのか、それとも……病気が進んだのか。

こんなときになんという事だ。
狼狽しつつ自分の手足と格闘していると、玄関から扉の開く音が聞こえた。

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