よるのむこうに


私は天馬の肩に手を伸ばそうとした。
今の私には謝るか、傷つけた天馬を慰めることしかできないからだ。

自分で傷つけておいておかしな話だけれど、私達は二人きりで、ほかに誰も彼を慰めてくれる人はいないのだ。
そっと浴槽の中で彼に身を寄せようとした時、私は自分の肘をみて首を傾げた。


「天馬」

「なんだよ」

「あのさ、……なんか、肘が変」

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