よるのむこうに
とん、とふすまが閉じられた瞬間、私もまた、天馬が触れていた自身の肌に手のひらを重ねた。肌に残る彼のぬくもりの影を追いかけるように。
そこに残るかすかな温かさで、私もまた気持ちに折り合いをつけたかった。
私は天馬の残したぬくもりを頼りに、また性懲(しょうこ)りもなく『どうして私だけが』と泣き叫ぶ心を宥(なだ)め、抱きしめた。
折り合いがついたら、立ち上がろう。
もうすでに舞台の幕は下りていたのだ。
そのことに気付かないふりはもう、できない。