よるのむこうに
「天馬っ……」
激しい嗚咽のせいで、まともに呼吸もできない。
突然海に投げ出された人のように、私は必死で天馬に縋(すが)りついた。
「ほ、ほんとは、ずっと……」
「ずっと」
「あんたがっ、……す、好きで、好きでっ」
「きっと、あんたの何倍もっ、好きだった……。自分ひとりが苦しいみたいなこと、言わないで……!」
二年も一緒に暮らしていた相手に、その時私は初めて告白した。
完全に順序が逆だった。
「あんたが駄目な男だって分かってる……後先考えずに行動して、トラブルばかり起こしてるのも知ってる……それでも、それでもあんたが……」
振り絞るような涙がはらはらとこぼれてベッドにしみを作った。
「天馬が好き……好きだからあんたの足手まといにはなりたくないし、リウマチが悪化して私があんたの手に負えなくなって捨てられるなんて、……絶対ごめんだった!」
天馬は驚いたように切れ長の目を見張った。
そして、次の瞬間、泣きじゃくる私はベッドに押し倒されていた。