よるのむこうに
私の実家は新幹線の距離だ。
こんな状態で実家の両親の元に戻るのは心苦しいけれど、病状が悪ければいずれ戻らざるをえなくなる。
私一人で戻るのも申し訳ないのに、天馬を連れて行くなんて考えられないし、天馬だってそんなこと望まないだろう。
それに、仕事を失いかけている私は……これまでどおり彼を養うことは難しい。
忙しくてなかなか旅行にもいけなかったし、大きな買い物もしなかったのでそこそこの貯金はある。また、ありがたいことに私の場合はは療養のための休職であれば三年間は全額でないものの給与の八割が保証される。
いますぐに経済的に破綻するということはないけれど、それでもずっと今までどおり彼を養っていくことはできない。
復職の目処も立たず、治療費がどれほど必要なのかわからない私にとっては今までのように彼の自立を待つともなく待っているだけの気持ちの余裕もなかった。
別れる、しかないのか。