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4:話す水曜日
水曜日。神谷さん宅の掃除が始まって三日目。
今日神谷さんはお休みで、朝から洗濯をすると言っていたけれど、ちゃんとしたかしら。
仕事のあと腕時計を見ながらそんなことを考えていたら、携帯が鳴った。神谷さんだった。
「青山さん、お疲れ様。聞いて聞いて、ちゃんと朝から洗濯機回したよ! 青山さんが洗剤も物干し竿もハンガーも洗濯バサミも買ってきてくれたからね!」
通話ボタンを押すや否や、神谷さんは嬉しそうにそう捲くし立てた。
「そうですか、良かったです」
「でもスペースも洗濯機の容量も限られてるから、まだまだ大量にあるんだけどね」
「もしかしてまた新しい服や下着買いました?」
「いや、今日はまだ買ってない」
「まだ?」
「いや、今日は買わない。買い置きがあるし、洗濯もしたからもう買わなくて済むかも」
「良かったです。これ以上衣類が増えたら収納なくなりますよ」
「だよね。洗濯しながら、これもうクローゼットには入りきらないなって思った」
「わたし初めてお邪魔した日から思ってましたよ」
「え、そうなの?」
「そうです」
「小物類も意外と多くてさ、チェストやキャビネットを買わなきゃなあって思った」
「ですねえ。もう少し片付いたら、収納を増やしたほうがいいかもですね」
「一緒に見に行く?」
「営業時間的に微妙ですね」
「なら通販かな」
「ていうか一緒に見に行くのは決定なんですか?」
「せっかくだから一緒に決めようかなって。嫌?」
「嫌、ではないですが……」