再生する
まあそれはいい。二度目の告白もどうでもいい。問題は別にある。
「それで、青山さんの返事は?」
問題はやっぱりこのゴミ屋敷だ。
この部屋をどうにかしないのなら、返事は「嫌で無理で有り得ない」のまま変わることはない。
結局のところ顔は好みだし真面目だしたくましいし。酔いに任せて抱かれても良いと思えるくらいには好きだ。
そんな人から告白されたのだから、嬉しくないわけはない。
だからわたしは、ある提案をした。
「……一週間」
「え?」
「一週間以内にこの部屋を綺麗に片付けることができたなら、もう一度告白してください」
「部屋、か……」
ようやく部屋を見回した神谷さんは、そこがゆうべよりほんの少しだけ片付いていることに気付いたらしい。
「もしかして、青山さんが?」
言いながら苦笑した。
「片付けたら、イエスと言ってくれる?」
「その返事を、片付け後にするって言っているんですが……」
神谷さんは少し考えたあと、小さく二度頷いた。
「分かった、やってみるよ」
「はい」
この人と付き合うにしろ付き合わないにしろ、せめて年相応の、人並みの生活をさせてあげたい。
そうしたらわたしじゃなくても、この容姿と性格で女の子なんて選びたい放題だ。
成り行きとはいえ神谷さんの私生活を知ってしまったのだから、なんとかしてあげなきゃ、と思うくらいの情も恩もある。
仕事はできる人だし、部屋の片付けくらい……。
「青山さん」
「はい」
「良かったら部屋の片付け、手伝ってくれないかな」
「……」
先行きは、不安でしかなかった。