スケッチブック




 あの三年生らは人がいれば、とくに女子がいればその辺りで何かする、というのは少ない。よって人がいれば…と先生がもらしたそれに「最近は私も来てないので」という。先生がどうして、といった。

 どうしてってか。
 この先生と、一年生とになってから部活な感じがしないのだ。
 ―――だなんていえるはずがなく。

 他の二年生が来ないのは、といわれて溜め息。部長すらあまり姿を見せていないのは、やはりこの先生と一年生にあるのだと思う。
 


「うわぁ、酷いなこりゃ」
「みその、絵やられたっぽいよ」
「うちらのばっかか。まあ、一年生コンクールとか出してないから仕方ないか…絵の具だけ?」
「は、はい」



 現在部長なのは、私の同級生のみそのである。ややきつい印象を与える彼女が「三年生には、先生から伝えて貰えますか」などといっている。先生はやや困った顔で頷き、離れた。

 片付けよう、というみそのにそれぞれ雑巾なんかをもって片付けるものの、一年は先輩の不良を怖がっているのは目に見えていた。私ももちろん吉岡らは怖いし関わりたくない。だってこんなことをするんだから。
 バケツに水を入れ雑巾をつけながら「あのね」と小声になる。



「手芸部もやられてて、ばっさりだったよ。ぬいぐるみとか首がごろんってなってたりさ」
「まじで」
「陽子ちゃん、泣いてたのを見た」



 陽子というのは手芸部であるのは知っている。裁縫が得意で、ほわほわして優しい子である。
 あの子が泣くほどか、と雑巾で絵の具を拭いていく。


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