スケッチブック
それから部長がみそのとなり、先生がかわり、後輩が入って。
「さっきの話だけど」
「うん」
「片石、また先輩らともめたらしいよ」
「あー、朝に片石見たけど、顔なんか…あざ出来てたけど」
「その片石なんだけどさ―――」
三年生の不良である、吉岡や森らは手芸部なんかの部室に入って荒らして回っていた。で、問題はここからだ。
吉岡らは学校の風邪注意!などのポスターを破りながら、今度は美術部の部室に侵入した。落書きする道具はわんさかある。紙もある。ということでいろいろと引っ張りだし、私らが片付けてたあの惨状を生み出した。
―――のだが。
落書きをしまくっている三年生に、いきなりあの片石が怒ったのだという。
「で、先生が来るまで殴り合い」
「殴り合い!?」
「手芸部の部室はガラス割れたり、野球のバットが転がってたみたいだけどさ、それに比べるとこっちはまだ良い方だと思わない?」
「確かに…」
「片石が割り込んだからだと思う。彼、あの先輩らより強いから先輩のほうがやばかったとか」
「えぇ。それってどうなるの」
「さあ…生徒指導室でいろいろやってんじゃないかな」
片石を不良だという人は多い。役員の集まりでは必ず話題になるし、確かにさぼったり寝てたりと自由人だが、外で悪いことはしてないはず、たぶん。
学校の物を破壊したり、というのはなにもそんな人らがやったとは言い切れない。実際、いるのだ。あいつらのせいにしよう、と。そんなやつがいるから、とあの片石の顔を思い出す。
私のことをかばってくれた、あの片石。悪い人じゃないと思うんだけど、な。
みそのの、「また停学かな」たという呟きを聞く。