雨恋の氷河
月光祭
ドコドン……ドコドン……
和太鼓の音が聴こえてくる。
たくさんの夜店が出ていてちょうちんが真っ暗な道を静かに鮮やかに照らしている。
「月……私月光祭って初めてかもしれない。」
「まぁいちじくは初めてかもな。」
「うん。」
私は小さい頃から月光祭を見たことがない。
「そろそろ始まるぞ。」
「うん。今行く」
「巫女がんばれよ」
「もちろん!」
私は巫女服に着替えるため早めに屋敷へ向かった。
「いちじく着付けするわよー!」
「お願い」
私の着付けは椿が、やってくれた。
巫女服は薄い水色がベースの服だ。
髪飾りは花かんざし……すごく可愛いの。
髪の毛は必ず下ろさなくちゃいけない……
「どうかな……??」
「わぁー!いちじくめっちゃ似合ってるわ。前回はキレイな巫女さんだったけれど今回は可愛らしい巫女さんね♡」
「椿ーっ!ありがとう」
「いちじく…絶対に帰ってきてね待ってるから。」
「うん。大丈夫!」
私はすぐに舞台へと向かった。
巫女のすることはただ一つ……儀式を成功させること。
どんな儀式かは知らないけど雨恋家の長女の宿命なの……