雨恋の氷河
「あの城みたいなのって何?」
「あれはロイヤル城じゃないか?昔、椿に聞いたことがある。」
「あそこに行けば何か分かるかも!」
「……そうだな!まず広い森をぬけよう。」
「うん。」
私たちは寒くて広い森をぬけるために歩き出した。
バンっ∑
いきなり大きな音が鳴り響いた。
「なにっ?!」
多量なスズメバチが群れで少年に襲いかかっている。
少年は魔法使いなのか戦っていた。
でもだいぶ怪我をしてるみたい。
華を操っていた……あの人見たことある気がする。
「桜華!!」
「月?!今出てきちゃダメだ!」
「オレも手伝う」
月と桜華は2人でスズメバチと戦った。
思い出した……昔私が魔人に襲われた時手助けしてくれた人だ。
確か10年前だった。
周り1面に広がった真っ黒な空間を私は月光の世界で1人囚われていた。
「誰かいませんか……?」
あの時何回も弱々しい声で叫んでたな。
ただただ助けを待って……
でも誰も来てくれなかった。
そんなとき一人の声が私に届いたんだ。
「いちじく?!大丈夫か?!」
「月……?」
「あぁ。一緒に帰ろう!ほら。」
そう言って月は私の手をとった。