先生。あなたはバカですか?

今朝起きたら私の身体は、昨日の熱が嘘のようすっかり回復していた。


頭痛や目眩もなくなって、特に他に目立った風邪の症状も見られず、


朝一で私の様子を見に来た岩田先生には、


『どうせ面倒くさい事ばっか考え過ぎて、知恵熱出したんだろ』


とバカにされる始末。



知恵熱ってアレでしょ?


小さな子供が頭を使い過ぎると出す…アレだ。



私、そんなに子供じゃないのだけど。


相変わらず失礼な男だ。




そうは言っても、今まで考えた事すらない事をアレコレ考えていた3日間だったのは事実なわけで…。


そう思うと、あながち知恵熱ってのも間違いではないのかもしれないと思えてくる。


自分の思っていた“常識”を破り、今までと違った自分になるという事は、それだけ気力と体力を使うという事なのだろう。





「翠ちゃん!治って良かったね!」


帰りのバスの座席は自由席。


私はもちろん花織ちゃんと隣同士で座った。


私の隣で、花織ちゃんが嬉しそうに笑顔を向ける。


「うん」


わたしもつられて微笑む。



まぁ、知恵熱くらいどうって事ない。


沢山ぶつかって悩んだからこそ、今この結果があるのだから。
< 174 / 434 >

この作品をシェア

pagetop