先生。あなたはバカですか?

胸の奥がもやもやして、私はそれを払拭すようにベッドから飛び起きる。



何だか、今となっては全て夢だったんじゃないかとすら思えてくる。


いや、もしかしたら本当に夢だったのかも…。




洗面台に向かう為に、1階までの階段を下りていると、

小綺麗な格好でヒールの靴に足を通す、今まさに出勤しようとしているお母さんに出くわす。


お母さんはきっと、顔を合わせる暇があるのなら勉強をしろと言うから…


お母さんが家に居ることが分かっても、なるべく部屋を出て行かず、勉強に集中した。


だから、こうやってまともに顔を合わせるのは久々かもしれない。


階段の途中で佇む私に気付いたお母さんと視線が合う。


「あ……おはよう」


「…あなた、今日から新学期じゃないの?」


「う、うん。そうだよ」


普通、親子の会話って、こんなにぎこちないものなのだろうか?


お母さんの鋭い視線に萎縮してしまう。


しかも、このタイミングで部屋を出た事を今私は非常に後悔している。


だって、お母さん…凄く機嫌が悪い。
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