先生。あなたはバカですか?

「だってそういうことだろ?今の。
すげー可愛い顔してたぞ?今だって真っ赤だし」


それは、怒ってるからでしょーがっ!!


「へーえ」と言いながら顎を触るこの男の口元は、完全に緩んでいる。


「俺に会いたかった?」


意地悪い顔をずいっと近づけられ、「うっ…」という声と共に、私は地べたにお尻をつけたまま後ずさり。


「ねぇ。会いたかったかって聞いてんの」


それでも尚、迫ってくるこの男…。


こいつ…。


私に意地でも“会いたかった”って言わせるつもりだな?


ぐぬぬぬ……。


絶対に言うものかっ!


「別に…会いたくなんて…なかった…です」


「本当は?」


はぁ!?


なんてしつこい男なの!?


「会いたかったって言えよ」


「い、言いませんっ」


「言わないと、いたずらするよ?」


「ひっ…!」


後ずさりする私の上に覆い被さるように迫ってくる先生は、片手で私の顎を持ち上げてゆっくりと顔を近づけてくる。


待って!


待って!


この距離はダメっ!!


絶対ダメっ!!


心臓がもたないっ!!


息が苦しいっ!!
< 198 / 434 >

この作品をシェア

pagetop