先生。あなたはバカですか?

何よ私…。


恋かどうか分からない?


そんなわけないじゃないか。



「……翠」




私を呼ぶ、その声が好き。


私を真っ直ぐ見つめる、その茶色い瞳が好き。


私に触れる、大きくて温かいその手が好き。


もっと触れてほしい。


もっと触れたい。


もっともっと近くに行きたい。




こんなのとっくに、“恋”じゃないか。



「……080–XXXX–XXXX」


「…え?」


「私の…番号です。か…彼女の番号くらい知っておいて下さいっ」



走り出したばかりの、なかなか素直になれないこの恋。


少しずつでも素直になって、伝えていけたらいい。


そう思うから…–––––。



唇を尖らせて、眉を寄せて、恥ずかしい気持ちを堪えながらそう伝えると、

それを見た先生は「はっ!」という笑い声を漏らして破顔する。


「キャッ…!」


それから、また私を自分の腕の中に拘束する。




「何なのお前。可愛すぎ。もう我慢の限界なんだけど。襲っていい?」


「だ、だめです!!ここは学校です!!」


「学校じゃないならいいの?」


「……っ!?ダメですっっ!!」


「じゃあなんならいいんだよ。アホ。俺、翠不足なんだけど…」


「ダメったらダメなんですっっ!!」
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