先生。あなたはバカですか?
最初の頃は、学校からの帰り道に近所の家から家族団欒の笑い声が聞こえてきたり、同級生がお母さんの作るご飯に笑いながら文句を言っていたり、
シーンと音の聞こえる家の中で、コンビニで買ったお弁当をひとりきりで食べながら、そんな些細な事を思い出し、羨ましく思ったり、寂しく思ったりなんかもした。
だけど、人間というものは順応していく生き物なのだろう。
そんな生活にもすっかり慣れて、今ではそのサイクルを乱される方が戸惑ってしまうくらい一人というものに慣れてしまった。
今日だって、帰り道にある牛丼屋で牛丼を買って、奮発して豚汁もつけてしまおうか…なんて考えていた矢先にかかってきた電話がこれだ。
そういえば、この間花織ちゃんに『予備校の後ってご飯どうしてる?』なんて聞かれた事があったな。
どうやら花織ちゃんは、予備校がある日の晩ご飯のタイミングに困っているらしい。
家に帰れば、手作りのご飯が用意されているらしいのだが、予備校からの帰宅は早くても9時過ぎになるらしく、その時間帯からガッツリ食事をとるのは気がひけるのだとか。
体型が崩れる事を気にしているらしい。