先生。あなたはバカですか?
その時に、私はどうしているのかと聞かれて、うちはお母さんが夜勤ばかりだし、私はもう何年もお母さんの手作りのご飯なんて食べていないから、気にした事がないと言ったんだ。
事実、休みの日もお母さんは家で仕事をしているし、食事はもっぱら別々だ。
私はいつも通りできあいで済ませている。
それが当たり前になっていたから忘れてしまっていたのだろう。
その時の花織ちゃんの反応で、うちは“異常”だということを思い出した。
花織ちゃんは、みるみる悲しげな表情になって、「そっか…」と言ったきり何も言わなかった。
よく考えてみれば、情報が漏れるとしたらあそこからくらいしかない。
恐らく、花織ちゃんから峰山先生へ。
峰山先生からあの不良教師へと伝わっていったのだろう。
口止めしておくべきだった。と、今更ながら思う。
とにかく、仮にも生徒という立場の私を自分の家に招き入れようとしている、あの考えなしの不良教師に一言物申してやらないと気が済まない。
家のそばをうろつかれても堪らないから、急いで家に帰ろう。
そう思い、私は帰宅する足を早めた。