先生。あなたはバカですか?
だからといって、“間違っていない”と言われれば、突き放されたような気持ちになる。
こんなに面倒臭い女だったんだな。
私というやつは。
だけど先生は、どちらもしない。
私を決めつけたりしない。
ただ黙って、全てを受け入れてくれる。
あぁ。
私、この人が側にいてくれるのなら、もう何も怖くないかもしれない。
*
帰りの車中。
「送ってもらってすみません」
「いや、別に俺が無理矢理付き合わせたんだし」
「…無理矢理の自覚、あったんですね」
意地悪くそう言えば、運転席から注がれるじとっとした視線。
何よ。
本当のことじゃないか。
「お前はさ、もっと俺といたいとか思わないわけ?」
「……また突拍子もない事を……」
「まぁ、今のお前の脳みそ占めてんのは受験だもんな。甘ったるい恋愛は期待するだけ無駄か」
「……」
何この人。
恋愛なんて星の数ほどしてきただろうに…。
いや、きっと腐るほど経験豊富なはずなのに、私に甘ったるい恋愛なんて期待をしているの…?