先生。あなたはバカですか?

だからといって、“間違っていない”と言われれば、突き放されたような気持ちになる。


こんなに面倒臭い女だったんだな。


私というやつは。



だけど先生は、どちらもしない。


私を決めつけたりしない。


ただ黙って、全てを受け入れてくれる。



あぁ。


私、この人が側にいてくれるのなら、もう何も怖くないかもしれない。







帰りの車中。


「送ってもらってすみません」


「いや、別に俺が無理矢理付き合わせたんだし」


「…無理矢理の自覚、あったんですね」


意地悪くそう言えば、運転席から注がれるじとっとした視線。


何よ。

本当のことじゃないか。


「お前はさ、もっと俺といたいとか思わないわけ?」


「……また突拍子もない事を……」


「まぁ、今のお前の脳みそ占めてんのは受験だもんな。甘ったるい恋愛は期待するだけ無駄か」


「……」


何この人。


恋愛なんて星の数ほどしてきただろうに…。


いや、きっと腐るほど経験豊富なはずなのに、私に甘ったるい恋愛なんて期待をしているの…?
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