先生。あなたはバカですか?
まっっことに不本意ではあったが、始めて先生の家にお邪魔したあの日から、私は毎週金曜の夜に定期的に先生の家へお邪魔する事になった。
幸か不幸か、金曜日は予備校での講義はなく、学校からそのまま先生の家へ直行しなければならない。
先生はもちろん、夜まで学校でなんだかんだ仕事があるのだから、必然的に“私ひとりで先生の家まで行って、部屋に入って待つ”……という流れになるわけなのだが……。
そこで渡されたのが……これだ。
「輝いてる……翠ちゃん。輝いてるよ…!」
昼休みの屋上。
いつも通り、購買で買ったパンをたいらげると、花織ちゃんへの近況報告会が始まった。
事の経緯を一通り話終えると、花織ちゃんにしつこく懇願され、しぶしぶ取り出したのは先生の家のスペアキー。
先に待っている為にはこれがない事には、共同玄関の自動ドアすら開かないのだから、“持ってろ”と言われたらそうする他にない。
「まぁ、新しく作ったみたいだから、まだ新品で光ってはいるけど…」
「ちがーーう!!」
珍しく花織ちゃんのツッコミが入って、思わず私はたじたじ。
鍵を落としそうになってしまったじゃないか。