先生。あなたはバカですか?
「違うでしょ!?翠ちゃん!!それは女子憧れのラッキーアイテム“彼氏んちの合鍵”だよ!?」
何やら花織ちゃんは、もの凄く興奮をしている様子。
空になったお弁当箱が、花織ちゃんが勢いよく立ち上がるのと同時に地面へ落ちた。
「ちょっと…花織ちゃん落ち着いて。申し訳ないんだけど、私には何のことやらさっぱりだわ」
そう言って眉を寄せれば、花織ちゃんは、
「もう!翠ちゃんったら鈍感なんだから!」
と頬をを膨らませる。
私は産まれてくる世界を間違えたのだろうか?
花織ちゃんの言っている事が今、ことごとく分からない。
「それを渡されたって事は、“お前には俺の全てを知られても構わない”って事じゃないっ!羨ましい〜〜〜!!その進展速度、もの凄く羨ましいよぉぉぉ」
屋上の地面に突っ伏する花織ちゃんを見下ろしながら、げんなりモードの私。
必ずしもそういう訳ではないと思うのだけど……。
だけど万が一、そうだとしたら……。
「私にはその進展速度、速すぎるくらいだけど……」
ボソッとそう言えば、突っ伏ている花織ちゃんがピクッと肩を揺らす。