先生。あなたはバカですか?
「翠ちゃん……」
少し偉そうに言い過ぎたかしら。
こんな超恋愛初心者の私がアドバイスとか……鬱陶しがられてしまったかもしれない。
だけど、私の心配をよそに、花織ちゃんの潤んだ瞳はいつの間にか穏やかに細められていて……。
「……うん。そうだよね。翠ちゃん……ありがとう!」
そう言って花織ちゃんは、こぼれるような満面の笑みを浮かべた。
花織ちゃんの欲しかった言葉をあげられたのかどうかは分からない。
だけどよかった。
花織ちゃんが笑顔になってくれてよかった。
確かに苦難ばかりの辛い恋だけど、花織ちゃんには笑顔でいてもらいたい。
だって、花織ちゃんは峰山先生の事がきっと心から大好きなんだ。
こんなに頭のいい花織ちゃんが、どうしていいか分からなくなるくらい大好きなんだ。
教師と生徒の恋なんて許されない事は分かってる。
だけど、花織ちゃんの恋する気持ちは花織ちゃんのものでしょ?
許されようが許されまいが、花織ちゃんだけのものだ。
私は、花織ちゃんにこの気持ちを諦めて欲しくない。