先生。あなたはバカですか?

今は沢山我慢しなくちゃいけない恋かもしれない。


先の見えない恋かもしれない。


だけどこの先、花織ちゃんのこの素敵な笑顔が失われない恋ならいい。


そう心から思うから……。



私はずっと応援してるよ。

花織ちゃん。










「あ!そうか!分かりました!」


「そう。そういう事。さすがに飲み込み早いな」


最近、不覚にも気付いてしまったことがある。


「この辺は、応用まで完璧そうだな」


「そうですね。この分なら次の模試は自信を持って挑めそうです」


「それならよかった」と言って笑みを浮かべる岩田先生を前に、私の心は高揚していた。


気付いてしまった……というより、夏の数学特別講習会の時にすでに気付いてはいたのだが、岩田先生の家で数学を見てもらうようになって更に実感してしまった。というのが正しいだろう。


この不良教師、意外な事にもの凄く勉強を教えるのが上手いのだ。



「この辺で休憩入れとくか」


そう言って立ち上がると先生は、必ずキッチンへと向かう。


先生のうちにお邪魔をするようになってからというもの、毎回手作りの晩ご飯を御馳走してくれる……というのが、お決まりになっていた。

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