先生。あなたはバカですか?

それもなぜか、しっかりと栄養面まで考えられ、しかもプロ級と言っても過言ではない素晴らしい手料理達を振舞ってくれるものだから、最近の私の肌コンディションが無駄に良くなった気さえする。


先生いわく、学生時代に料理にはまった時期があるらしく、やろうと決めたら追求せずにはいられない性格の先生は、とことん研究に研究を重ねたらしい。


料理は科学だってよく言うけれど、どうやら本当みたいだ。


理数系男子の心をくすぐる何かが、料理にはあるのかもしれない。


だからってわけではないのかもしれないが、先生はこうして私に晩ご飯を作るのを苦だとは思わないらしく、仕事をして帰って来て疲れているにも関わらず、毎週こうやって私に素晴らしい手料理を振舞ってくれるのだ。




オープンキッチンの中で手際良く動く先生に、私はソファーの背もたれに置いた腕に顎を乗せながらそれを眺めていた。


腰に巻かれた黒のサロンがよく似合っている。


この人のファンの生徒達がこの姿を見たら、また間違いなく騒ぐのだろう。


「先生は、なんだかんだで先生なんですね……」


「は?なんだそりゃ」


あ。しまった。


心の声が漏れてしまった。
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