先生。あなたはバカですか?
「厳しい人…だったんですか?」
「んーそうだな。厳しいってより、子供を自分達の所有物のように思ってる人間…てのが正しいか。俺が喜ぶどうこうより、自分達の思い通りにしたいっていう」
先生の両親は先生を教師にする為に、小さな頃から必要の無いと判断した事はさせなかったと前に先生が言っていた。
先生も特にそれに逆らわなかったという。
確かに私も、お母さんとクリスマスを祝った事はほとんどない。
だけど、お父さんがいた頃に3人でクリスマスを祝った記憶がある。
それを煩わしく感じていた事もあったけど、今はその記憶を愛おしくも思う。
だって、家族が揃っていた温かい頃の記憶だから。
でも、先生にはそんな記憶すらないんだ。
それって何だか、とても悲しい。
「だからかな。俺、人を楽しませるとか、喜ばせるとか、いまいちよくわからないんだよ。ケーキもほら…な。子供が喜ぶみたいなの買っちまうし?人の為を考えたりするそこら辺の感情が昔からどうも欠落してる。だから、上手く喜ばせられたかどうか自信ねーけど、まぁ、お前が楽しかったならよかった」
そう言って私に微笑む先生に、何だか泣きたいような気持ちになって。