先生。あなたはバカですか?
初めて体験する大人のキスに、頭の中が真っ白になっていくのが分かる。


もう意識を失うんじゃないかってくらいの所まできてようやく先生が唇を離してくれて、そのまま先生の腕の中に押し込められた。


力なく項垂れる私の頭を「手加減出来なくてごめんな」と言って優しく撫でる先生。


「せっかく…ジャージ着たのに…」


「ばーか。俺を警戒してんなもん着てんの知ってんだよ。んな、いじらしい事したら逆効果だって覚えとけ。服なんか脱がしたら同じなんだぞ?」


「……最低」


「ふっ」


先生が、ポンポンっとあやすように私の頭を撫でる。



「安心しろ。これ以上は何もしねーよ。
だから、このまま…抱きしめたまま寝てもいいか?」


まだ、ぼーっとする頭で、私は躊躇しながらも小さく頷いた。





先生の体は大きくて、逞しくて、こうして抱きしめられていると、男の人なんだなってつくづく実感する。


私は先生の腕の中で、ぼうっとそんな事を考えられるまでには何とか落ち着きを取り戻していた。


まだ、緊張はしているものの、大分心持ち穏やかで、先生のものか自分のものか分からない心音が今は心地よく感じる。
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