先生。あなたはバカですか?
医者からの帰り道、俺は医者から言われた言葉の一つ一つを思い返していた。
俺の頭の中には腫瘍があって、手術して取らなきゃゆくゆくは死ぬ。
だけど手術したとしても50%の確率で死ぬ。
例え成功したとしても、記憶がなくなるかもしれない?
それは死ぬのと何が違うんだ?
…………俺…死ぬのか…。
それなのに、恐怖一つ感じないのはなぜなんだろう?
考えても考えても、俺には死にたくない理由が見付からなかった。
そう。
この時、俺は気付いたんだ。
俺の中には何もないんだって。
楽しい思い出も、悲しい思い出も。
置いていかなければならない誰かを思う気持ちも。
大切なものも……。
親に敷かれたレールの上を歩いてきた俺の人生は失うものもなければ、得るものもなくて。
ただ単純で、つまらないものだった。
そんな人生に抗おうともせず生きてきた俺は…
空っぽだったんだ。
それに気がついた時の俺は、絶望した。
こんなつまらない人生を生きて、からっぽのまま死んでいく俺は、一体何のために生まれてきたんだって––––。
*
次の日。
俺は重たい体を引きずりながら出勤した。
俺の頭の中には腫瘍があって、手術して取らなきゃゆくゆくは死ぬ。
だけど手術したとしても50%の確率で死ぬ。
例え成功したとしても、記憶がなくなるかもしれない?
それは死ぬのと何が違うんだ?
…………俺…死ぬのか…。
それなのに、恐怖一つ感じないのはなぜなんだろう?
考えても考えても、俺には死にたくない理由が見付からなかった。
そう。
この時、俺は気付いたんだ。
俺の中には何もないんだって。
楽しい思い出も、悲しい思い出も。
置いていかなければならない誰かを思う気持ちも。
大切なものも……。
親に敷かれたレールの上を歩いてきた俺の人生は失うものもなければ、得るものもなくて。
ただ単純で、つまらないものだった。
そんな人生に抗おうともせず生きてきた俺は…
空っぽだったんだ。
それに気がついた時の俺は、絶望した。
こんなつまらない人生を生きて、からっぽのまま死んでいく俺は、一体何のために生まれてきたんだって––––。
*
次の日。
俺は重たい体を引きずりながら出勤した。