先生。あなたはバカですか?

確かに俺は親に言われるがまま教師になった。


だけど、今日ほどこの仕事を辞めたいと思った事はないだろう。


こんな中身がからっぽの人間が、人にものを教える?


こんなおかしな事ないだろ?


俺が生徒なら勘弁願いたいね。


いっそ今日にでも辞表を出して、溜まってる貯金全部はたいて、死ぬまでどっかでひっそりと暮らすか…。


なんて、現実味のない事を考えてる自分に苦笑が漏れる。


俺って本当何もないんだな。


これから死ぬってのに、そんな事しかする事思いつかねーのかよ。






『うわ!やべぇ!!』


ふと校門脇の花壇からそんな声が聞こえてきてきてそちらへと目を凝らす。


恐らく朝練をしていたサッカー部員だろう。


花壇の上で、力なく横たわる花を見ながら2人は何やらひそひそと話し込んでいる。


『やべーなこれ!美化委員の山田にぶっとばされんぞ』


『あれだけ花壇の近くでボール使うなって言われてたのにな…』


青い顔をしながら話し込むサッカー部員に、なるほどな。と思う。


恐らく、花壇の近くでボールを使った練習でもしていたんだろう。


その際、うっかりボールが花壇へと飛んでいき、その上へと落ちたボールが花を潰してしまった…てな感じか。
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