先生。あなたはバカですか?

私がこの3年間、どれだけ先生を想って、どれだけ先生を心配していたか、この人はそんな事、考えた事ないのだろうか?


本当はずっとずっと心の中で叫んでた。


“私を忘れないで”って……。


ずっとずっと、叫んでたんだよ。



「手術の後目が覚めた時、真っ先にお前の顔が浮かんだよ。すげー嬉しかった。柄にもなく涙が出てきて、直ぐにでもお前の事迎えに行きたくて」


先生は記憶を辿り、一つ一つ言葉を紡いでいく。


「だけど、それでいいのかとも思った。お前は俺の手を離れ、きっとちゃんと前に進んでいこうと頑張ってる。俺にはお前しかないけど、お前にはこれから沢山の事が待っていて、沢山のものを手に入れていく。そこに俺がいていいのかなって……」


力なく笑いながら、先生は自分の手のひらに視線を落とす。


「俺の人生なんかに巻き込んで、そんなお前の可能性を狭めていいのかって…考えてた」


先生の手は、小刻みに震えている。


「ずっと、死ぬつもりだったんだぞ?未来なんてないと分かってたからお前に近付いたんだ。
それなのに助かるとか……。急にお前との未来があるとか言われても、どうしたらいいか分かんねー…」


先生……。

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