先生。あなたはバカですか?
「ねぇねぇ。柳さん」
トンと肩に感じる小さな衝撃。
何かと思って振り返ってみれば、
「いつも学年トップ凄いね!」
そこには、ニッコリと柔らかく笑う後ろの席の芝関(シバセキ)さんの姿。
芝関さんは、小柄で可愛らしく、色素の薄い柔らかそうな髪を下ろした、まさに天使のようなルックスの持ち主。
風の噂では、一部の男子がファンクラブやなんかを作っているとか…。
勉強に関しても、学年でも5本の指に入る秀才で、才色兼備とはまさに芝関さんみたいな人の事を言うのだろう。
ただ勉強しか取り柄のない私にとって芝関さんは、天から二物も三物も与えられている、全く住む世界の違う人間だ。
そんな芝関さんが私なんかに話しかけてくるなんて思いもよらない事だから、さすがの私も動揺が隠しきれなかった。
「…ありがとう…」
動揺を隠す為、ついしかめっ面になってしまう私に嫌な顔もせず、ニコッと頬をピンクに染めて笑ってくれる芝関さん。
男共はこの笑顔にハートを射抜かれているんだな。と妙に感心してしまう。
「ねぇ、生田さん。今回の模試、少し難しくなかった?私完全に数学でやられちゃって!志望大の判定散々だったよ〜」
とほほと眉を下げた表情で大袈裟に肩を落とす芝関さん。