先生。あなたはバカですか?
芝関さんは尚も瞳を輝かせながら私を見つめてくる。
おっと…。
いよいよ断り辛くなってきたぞ…。
「あのね、生田さんの気持ちも分かるからそんなに無理強いはしたくないんだけどね、もし少しでも興味があるようだったら、峰山先生に詳しい内容を聞いてみたらどうかなぁ??
私は生田さんと参加出来たら嬉しいし!良かったら検討してみて?ね?」
うっ…。
そんな仔犬のような目で見られたら…。
「……うん。分かった」
そう言うしかないじゃないか。
コミュニケーション能力の高い人は、こうも押すのと引くのを上手く使いこなしてくるのか…。
私は、ニッコリと微笑む芝関さんに、苦笑いを返すので精一杯だった。
–––そして、その日の放課後。
数学科準備室の前をキョロキョロしながら怪しい動きで行ったり来たりする影…。
って、私なわけだけど。
何でこんな動きをしなきゃいけないのかって言われたら、理由は一つしかない。
“ヤツ”に会いたくないからだ。
芝関さんの言う通り、担任の峰山先生に講習の詳しい詳細を聞きに来た私は、数学科準備室前に来てようやくはっとする。
“ヤツ”も数学科の担当教師ではないか…と。