先生。あなたはバカですか?



あのキスをされた一件以来、私はことごとくヤツを避けてきた。


まぁ、元々私のクラスの担当教師ではないから、そんなに顔を合わす機会はないのだけど…。


そう。



“と思っていたのだけど”



人間意識をすると意外な事実に気付かされたりするもので、


それまですれ違った事すらないと思っていたのに、やたらとすれ違っていたり、


鉢合わすはずのない意外なタイミングで、上手く鉢合わせたり、


はたまたスッキリした顔でトイレから出てくる彼に出くわしたりする。(これに関しては妙な空気が流れる)


学校ってものは、つくづく小さな世界だと実感するが、そんな悠長な事を言っている余裕などまるでなかった。



目が合っても合わなくとも、とにかく逃げる。





話を掛けられる前に。



彼と関わりそうになる前に。



私は、とにかく逃げまくっていた。



「生田?」




–––––––ドキーーーーーーーッ!!!



「何してるんだ?こんな所で?」



私は、その声を聞いてホッと胸を撫で下ろす。


この声は、あの変態不良教師ではない。



「峰山先生…」

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