先生。あなたはバカですか?
そこにいたのは、担任の峰山先生だ。
峰山先生は、色素の薄い茶色の髪の毛を揺らしながら、相変わらずの爽やかな風貌でこちらに向かってくる。
そういえばこの人も、あの不良教師に負けず劣らずの人気者だったわね。
完璧な顔立ちというわけではないけれど、優しそうで清潔感のある風貌が、女子の心に火を点けるのも分からなくはない。
異常なまでに整った顔立ちをしているけれど、妙な色気に包まれて、何を考えているのか分からない怪しさを持ったあの人なんかより、ずっと親しみやすいわ。
「用事を頼んだわけでもないのに、生田がここに来るなんて珍しいね!何かあった!?」
大体、こうやってニコニコと屈託のない人の良さそうな笑顔を向けるなんて、
あの不良教師には到底出来ない事だもの。
「はんっ!」
「生田?」
「あ。スミマセン。えっと…」
いけない!
心の中で鼻で笑ったつもりだったのに!
思いきり声に出てしまった。
峰山先生は目を丸くして、頭の上に?を浮かべながら私を見ている。