先生。あなたはバカですか?

頭を抱え唸る私を見て、峰山先生は何を勘違いしたのか、


「いっ…生田!?どうした!?辛いのか!?苦しいのか!?何か悩みがあるなら先生が何でも聞くぞっ!!」


と言ってオタオタしている。



違う……。


いや、違くはないか。


あの男の存在自体が悩みそのものなんだから。



あああぁ〜!


私の頭の中から、


岩田 翔太っていう記憶自体を抹消出来たらいいのに!


delete!


delete!!


デリートォォ!!!



「……なんか……」


「!!!」



しまった!


今完全に我を失ってた!


峰山先生がキョトンとした顔で私を見ていた事に気が付いて、無性に恥ずかしさが込み上げてくる。


「生田のそんな様子、初めて見たな」


「なっ…!」


クスクス笑い出す峰山先生。


「いい意味だよ。今までは心配になるくらい、あまり感情を表に出していないようだったから。

誰か、自分の感情そのままでぶつかれる誰かが出来たのかな?」



自分の感情をそのままぶつけられる誰か…?


意味深な笑顔を向けてくる峰山先生に、怪訝な顔を向けてみせる。


「そんなこと…ありません」
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