先生。あなたはバカですか?
峰山先生はとぼけた顔をして「そ?」と言う。
「私の怒りを逆撫でしてくる人ならいますけど…」
「え?なになに!?誰それ興味深い!うちのクラス!?」
ボソッと小さな声で言ったつもりなのに、よく聴いてるなぁ…。
峰山先生ってこんなにミーハーなタイプの人だったんだ。
話してみないと分からないものだ。
でも、思っていたよりずっと親しみ易いかも…。
「先生。ところで本題に入りたいんですが…」
「あ!そっか!ごめんごめん!大分脱線したね!ちょっと待って…お茶お茶」
峰山先生は、お茶を淹れに行ってしまった。
いいのに。
律儀な人だ。
本当、何考えているか分からないあの人とは正反た…–––––「何してんだよ。」
「いひゃっ!?!?」
突然耳元で声がして、私は飛び上がる。
耳!
耳!!!
今耳に息っ…!?!?
左耳を押さえて、恐らく青ざめているだろう顔で固まっていれば、
「あれ?翔太?帰ってきたの?」
お茶を持った峰山先生が不思議そうな顔でこちらにやって来る。