先生。あなたはバカですか?
「あー。直帰するつもりだったんだけど…」
チラリと怯えた私に目をやる不良教師。
私の肩がビクッと上がる。
「朝から校内でチョロチョロと逃げ回ってるネズミがいてねぇ…。捕まえて、煮るなり焼くなりしてやらなきゃ気が済まねぇと思ってな?」
こ…怖いんですけどこの人…。
黒い笑みを浮かべたこの男の背後には、南極大陸さながらの猛吹雪が見える!
てくらいの、冷たい威圧感で私を見てくる。
逃げ回ってるのは誰のせいよ!
そもそも誰がネズミだ!
峰山先生に至っては、「へー!校内にネズミとか出るんだねー!菌とか持ってたら怖いから早く捕まえなきゃな!」とか、信じているし!
数学科の教師ってみんなどこかおかしいんじゃないの!?
「今、翔太の分もお茶入れるから待って」
「あー。俺いいよこれで」
「ちょ…あっ!」
なるべくこの男と目を合わせないように、チビチビ飲んだふりをしていた麦茶の入ったグラスを手の中から奪われ、
一気に飲み干される。
それからソファーに座っている私のすぐ隣にドカッと腰を下ろす。
なんで隣に座るの!?