先生。あなたはバカですか?
「…何?」
「あ…あのっ!生田さんっ!」
私の前に差し出される紙切れ。
そこには、10という数字が書かれている。
「あの…っくじ引き交換してもらえませんか?」
えっとー…
「何で?」
そう聞くと、真ん中にいるくじの紙を差し出してきた女の子が、顔を真っ赤にして目を泳がせた。
「えっと…じ、実は、生田さんの隣の席…川島君みたいで…」
「川島?」
「あ…うん。えっとね知らない?B組の川島君。凄くね…カッコイイ人で有名なんだけど…」
クラスメイトの顔もろくに覚えていない私が、他のクラスの男子の顔を覚えているわけもなく、
「知らない」
そう言うと、真ん中の子は少し身体をビクつかせて、
「あ…そ、そうだよね!」
と言う。
何が言いたいんだろう?
私は、早く参考書が読みたいのだけど…。
すると彼女の様子を見兼ねたのか、右側にいた少し気の強そうな女子が口を開く。
「要は、この子、川島くんの事が好きなのよ。
隣の席に座りたいみたいだから、代わってあげてくれない?」
あぁ、なるほど。
そういう事ね。