先生。あなたはバカですか?

生徒達の目の色が変わる。


峰山先生はそれを見透かしたように、ニヤリと口角を上げ、「ジャーーーン!!」と古い効果音を口で言いながらそれを掲げた。



「俺厳選!!スペシャル問題集セット10点!!!」



車内がシーンと静まり返る。


空気の読めない峰山先生の右手だけが、どうだと言わんばかりに掲げられたまま。


「いらねー!!!」と誰かが叫ぶと、みんな堰を切ったように文句を言い始めた。



私はそれを見て密かに思う。



そんなに嫌がる事かしら?


私は物凄く欲しいのだけど…。


だってアレ、凄く良いって予備校でも勧めている問題集よ?


私の微々たるお小遣いでは全部揃えるのは中々難しいんだから。


景品として無料で頂けるならそんなに嬉しい事はない。


「えーーいっ!じゃあ、出血大サービス!!もう一つオマケだ!!」


期待していた反応と違ったのか、苦し紛れな表情で峰山先生はテレビショッピングさながら声を張る。



え!?


まだあるの!?


「それはなんと…………!!!!

岩田先生からのデコちゅー!!!さぁ!これでどうだっ!!!」



………………は?


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