先生。あなたはバカですか?
だから、いつもお小遣いの中でやりくりしているわけだけど、それでは買える問題集の数に限りが出てきてしまうわけで…。


そう思うと問題集10冊がタダで手に入るなんて、これほど好都合な事はないんだ。



それなのに…



「……っ」



どうしても最後の問題だけが解けない。





「貸して。」



「…え?…あっ!」


私の手の中の問題用紙が、カサッと乾いた音を立てて拐われる。


「あのっ…川島君?」


そう呼んではみるものの、回答用紙にペンを走らせる川島君の手は止まらない。


その様子はやっぱり気怠そうなのに、ペンだけ信じられない速度で動いていて…


「はい。出来た」


「え?」


差し出された回答用紙を見れば…


!!!


凄いっ…!


解けてる!



「早く手上げなよ。先越されるよ?」


「え…!でも、川島君の回答用紙が…」


「ん」


川島君の差し出す回答用紙を見て、私はまたもや目を見張る。



全部…解けてる…。


え…という事は、私が話しかけられた時には既に全部解き終わっていたってこと?


そんな速さで解けるような問題のはずが…。

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